国税庁の発表(平成22年10月下旬)です。
平成21年4月1日から平成22年3月31日までに終了した事業年度に係る申告が対象です。
◆ 申告所得金額、申告税額は、いずれも3年連続で減少
法人税の申告所得金額の総額 33兆8,310億円(△10.9%)
法人税の申告税額の総額 8兆7,296億円(△10.1%)
※括弧書きの%は前年度比。
ちなみに、申告所得金額とは法人利益、申告税額とは法人税の納税額とお考え下さい。
法人税の納税額は法人利益(申告所得)に応じて計算されます。
◆ 黒字申告割合は25.5%と過去最低
昨年は29.1%でした。
平成9年以降は、30%ちょっとで推移していましたので、この2年間の下落が特に目立ちます。
ちなみに、バブル崩壊までは50%前後で推移しています。
リーマンショックのインパクトを、はっきり示す内容です。
こんな中、最近目立つのは法人税減税の話題。
昨年からありましたが、10月6日に菅政権発足後初となる政府税制調査会が開かれ、平成23年度税制改正の論議が本格スタートしています。
10月7日の産経新聞より…
『菅政権発足後初となる政府税制調査会(会長=野田佳彦財務相)が10月6日、首相官邸で開かれ、平成23年度税制改正の論議がスタートした。
菅直人首相は「法人課税の見直しを議論し、結論を得てほしい」と述べ、12年ぶりとなる1兆円規模の法人税減税の具体化を指示した。
12月中旬をめどに税制改正大綱の閣議決定を目指す。』
で、25日の同じく産経新聞。
『政府税制調査会のプロジェクトチーム(PT)は25日、平成23年度税制改正の目玉である法人税減税の代替財源として、石油化学製品の原料であるナフサ(粗製ガソリン)免税の縮減を含む素案を示した。
ナフサの免税規模は、特定業界を優遇する租税特別措置(租特)の中でも最大の約3兆7千億円。現在は原料用だけでなく、製造工程で燃料として使う分も免税しており、税調では燃料部分の課税化などを検討していく。』
政府税制調査会の会長は、民主党政権になってから財務大臣が兼務しています。
よって、政府税制調査会の素案は財務省からの提案でもあるわけで…
続きです。
『財務省は、法人税を5%引き下げた場合の税収減は最大2兆5000億円と試算し、経済産業省に代替財源確保策を要求した。
だが、期限を過ぎても経産省からは財源が示されず、しびれを切らした政府税調側が“逆提案”した形だ。』
ここで、どうして“逆提案”になるのかというと、そもそも法人税減税問題は、産業界からの国際競争力強化の声を受け、経産省が打ち上げたものだからです。
で、経産省からの提案に先駆け、産業界が猛反発しています。
総論賛成、各論反対ってことです。
『本経団連の米倉弘昌会長(住友化学会長)は同日の定例会見で、ナフサへの課税強化について「過当な税金をかけることになり、(国内)石油化学産業は一気に壊滅する」と猛烈に反発した…』
で、10月28日の政府税制調査会の内容です。
いよいよ経産省の登場です。
28日、共同通信社の記事。
『政府税制調査会は28日の全体会合で、平成23年度税制改正で法人税減税を求めている経済産業省から説明を聞いた。
焦点となっている税収減を埋め合わせる補完財源について、経産省は企業の会計制度や優遇税制の見直しなどを通じて、総額5000億〜6000億円程度の財源確保が可能との独自案を示し…
減税による企業業績の改善を通じた中長期的な税収増も考慮すべきだと訴えた。』
『独自案』というのは、ナフサへの課税強化抜きでも代替財源を確保できるってことを暗に示したことです。
そして、法人税率引き下げによる経済成長の押し上げ効果などで、3年後に税収が4800億〜6400億円増えるっていう期待値を盛り込んで、財源確保を計約1兆円と主張したことです。
で、当然、このようなことになります。
『経産省の要望通り法人税率を5%引き下げれば、税収減は最低でも年間1兆6400億円に上ると税調は試算しており、示された財源案とは大きな開きがある…』
加えて、財務省は、「経済成長押し上げによる税収の大幅増など不確実なものは財源案と言えない」との厳しい姿勢で、法人税5%引き下げの代替財源はすべて企業関連の租特廃止や課税強化で賄うとの考え。
税調つまり財務省のシミュレーションでは、税収減は最低年間1兆6400億円、最大2兆5000億円。今回の経産省提案は期待値まで盛り込んでますんで、全く回答になってないよということです。
で、戻りまして、25日の産経新聞。
『産業界の国際競争力強化の声を受け、菅直人首相が年内の結論を指示した法人税減税問題は、企業や産業界ごとの利権が複雑にからむ税制改革の難しさを浮き彫りにし、議論は難航の度合いを深めている。』
う〜ん、『12月中旬をめどに税制改正大綱の閣議決定を目指す』って
実現可能性は???って感じです。
中小企業の税率は平成21年度に22%から18%に下がっています。
中小企業は法人税減税の恩恵を既に受けているのです。
そして、赤字法人には法人税の納税がありませんので、
もちろん減税メリットはありません。
どのみち、中小企業にはメリットのない話題のような気がしますがね。
繰越欠損金制度や減価償却制度の見直しが入れば、逆に増税になりかねない勢いです・・・